見てください!
私の手のひらに5つ。
圃場ではなく、私の自宅の庭にある鉢植えの「アルプス乙女」です。
りんごの出来損ないではなくて、こういう品種です。
観賞用に妻が庭に置いているものの一つですが、こうやって収穫?できました。
長い間「ふじ」と「紅玉」の交配種と考えられていましたが、
DNA分析の結果種子親が「ふじ」、花粉親が「ヒメリンゴ」という可能性が強いそうです。
さて、交配という観点から・・・
皆様にお届けするりんごに入っている「種」は、ひとつひとつが違う命です。
りんごも自分の花の花粉では授精することはなく、
他の品種の花粉ななければ結実しません。
我々人間も同じ父母から生まれても、性別や個性が違うように、
種ひとつひとつが違う個性を持っています。
種を取り出して、野に放つことで発芽して木に成長するかもしれません。
もしかしたら、素晴らしい品種である可能性もあります。
品種と言っても、根として優良な品種であったり、
樹を大きくするor小さくする効果として優良な品種であったり、
食べて美味しいという点で優良な品種であるかもしれません。
様々な個性を活かして、現在のリンゴ栽培は行われています。
具体的に言えば、
根として優良な品種を台木といいます。
積雪が多い地方はこの台木、ネズミの食害に強い台木、
火山灰土だとこの台木、降雨が少ない土地だとこの台木、
そんな具合に台木も様々で、すべてりんごの種から生まれた根として優良な品種を
挿木という作業により根として増やします。
そこに樹勢をコントロールする品種を中間台木といい、
果実として食べるための品種があります。
台木に中間台木を継いで、その上に果実を作る品種を継いで苗木として使ったりしています。
「ふじ」という品種も、種から育てられた樹は世界にただ1本のみ。
その一本とは、根っこまで「ふじ」です。
その木の枝を継いで、各地に「ふじ」という品種が広がりました。
一つの種から、世界中で栽培されている「ふじ」という品種が広がっているわけです。
世界中にある「ふじ」は、なんとその世界中にある「ふじ」全てで一つの命です。
我々動物と、りんごという植物の命のあり方は全く違います。
壮大な命を感じます。
同じ品種でも枝替わりという現象により系統という違いもありますが、
その話はまたいつか・・・。