りんごの受粉(結実確保)

りんごの花が咲き、受粉作業真っ最中です。

こんな感じ。持っているのは通称「ダチョウ君」

ダチョウの羽を束ねて埃払いのようになっています。

 

りんごは他の多くの果樹と同じように、自分の花の花粉では結実しません。DNAが同じだから。

※以前品種が一つの命であることを書いたブログ

他の品種の花粉がなければ新しい命(種)をつくることはありません。種がつかない花は落ちます。果実になることはありません。

そこで受粉という作業が必要になります。他の品種の花粉をメシベに乗せるイメージです。

 ダチョウの羽は、非常に細かな毛で花につけると花粉たくさん付きます。

「ふじ」の受粉を行う場合は、受粉樹と呼ばれる、なるべくDNAが遠い品種の花にダチョウ君をこすり付け、その花粉をたっぷり含ませます。当園には「王林」という品種があり、受粉樹としては極めて有効です。人気の「ぐんま名月」という品種もありますが、片親が「ふじ」ですのでDNAが近くあまり適しているとは言えません。「王林」の花粉をふんだんに含ませたダチョウ君を「ふじ」の中心花めがけて当てていきます。

りんごは一つの花芽から5~6の花が付きますが、栽培では中心花だけを使います。他の花は結実していても落とします。であれば中心花だけに受粉したらよいようにも思いますが、ある程度の面積で栽培していると効率が悪く、花に受精能力がある間に受粉作業が間に合いません。後から側花(中心花ではない花)は落とすことが分かっているのですが、とにかくダチョウ君で一気に進めます。

そうなんです。後のことは考えず結実確保が最優先。だって結実しなきゃりんごにならないのですから。

花粉は生命力があって、前年の花粉を乾燥させてから冷凍すると、翌年も使えます。小西園では生樹の花粉をふんだんに使い、補助的に冷凍花粉も使います。

 

 そして心強い味方たち

やっと写真が撮れました。初めてです。そーっと近づいて、パチリ。

マメコバチくんたち!訪花昆虫は花粉を集めるとき、いろんな樹に行きます。他の品種の花粉を運んでくれるのです。

結実確保の補助的に使っています。そう、使うのです。つまり我々が管理している。

人口のハチの巣を設置して、生殖活動をしてもらいます。そこで結果的に結実確保の安定にひと肌もふた肌も脱いでくれるわけです。ハチは暖かくなると活動を始めてしまいますので、その巣を暖かくなる前に冷蔵庫に入れます。生殖活動の最盛期がりんごの花に合わせるように、ソメイヨシノが八分咲きの時に畑に設置します。

受粉作業はカレンダーで決められません。毎年の気候条件によって開花の時期がずれるからです。そして開花して受精能力がある期間は限られています。その間の天気、気温、湿度も結実確保の精度に関わります。この季節、私たちは雨がとっても怖いのです。雨は花粉を固めたり流してしまうし、ダチョウ君が濡れてしまったら受粉作業もできません。幸い今年の環境はとても理想的。

一つの果実にたくさん種が入っているりんごは、よいりんごに成熟します。種が「養分ほしい!養分運んできて!」という信号を出しているからです。

りんごづくりにとっても大事な受粉作業(結実確保)なのです。

さ、明日も朝から受粉日和。よいりんごにするため頑張ります!

ゴールデンウィーク・・・。今年は休みなしです。ごめんね、子供たち。